見えない二人の距離
「帰るの?」
「ああ…」
少しだけ、澪の声が震えてる。
多分、今にも泣きそうなんだな。
「まだ2限目なのに…」
「拓にも同じこと言われた」
「アハハ…たっくん寂しいんだよ」
アイツが寂しいわけねぇだろ?
寂しいのは……
「オレ、帰るけど…」
《大丈夫か?》
その言葉を言うのをためらった。
「……けど、なに?」
けど……
それも、おまえが言うなって言った言葉なのをオレは覚えてるから
澪に大丈夫かなんて…聞けねぇよ。