見えない二人の距離



そんな顔、すんなよ……



「だから純平、あの景品は純平と使おうと思ったの…本当だよ?」


「………」



オレを真っ直ぐに見ながら言う澪に、嘘はねぇ。



射的で取った景品は


“遊園地”のチケット。




今思えば、それ以外にだっていいものは沢山あったんだ。


中ぐらいの札に書かれた“当たり”の文字の正体がチケットでも、もう一つそれよりデカイ札があった。


それは確か、“温泉旅行”だった。



澪がそれを選ばずに、その景品を選んだのは……




「いつも、あたしのためにごめんね…」





“友達”としての計らい。





< 82 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop