独:Der Alte würfelt nicht.

『…何だ…天使様でも…神様でもないのね。折角天国に行けるんだと思って期待したのに…』

『生憎私は無宗教でね。宗教など時間の浪費にしか思えない。手っ取り早く資金を集めるにあたっては…有効な手段とは思うが』

『…随分と夢の無い人ね。シャーナス家の人間が私に何の用。法的処置が取られたの?私…どうなるの』

『第一級サイバーテロ。被害者の数は未だに増えている。君は裁かれなければいけないが…私は“事実を知っている”。君が今回の件で何の責任もない事も』


パンドラのシステムにハッキングし、その上で一部の機能を停止させるなど…設計者の私でも想像がつかない。

どれだけ仕様書を見ても、このプログラムの全てを理解した人間でも…不可能だと首を振る。

パンドラにアクセスすることは不可能というのは前提の話だ。

現に、私の研究チームの一人がパンドラの侵入に成功してシステムの一部をダウンさせた。

ダウンした影響で、そのシステムが管理していた地方のライフラインが一時的に停止した。

パンドラのシステムは、一部の機能が停止すると代償機能が働く。

まるで人間の脳のように繊細で、自らの“意思”でプログラムを書き換えるのだ。


『…私の、責任だから…ッこうやって自分の出生も学歴も消したんじゃない!!自分の両親“だった人”に迷惑がかからないようにしたのよ!!私は居ない、存在しない!!今すぐIDも抉り出すわ、それでいいでしょう!?もう私に…構わないでよぉ…ッ!!』

『私は同じ言葉を繰り返すのが嫌いだ。何故なら初めに言った言葉は確実に届いているから。二回目に聞き返すときはその事実を確定にしたいと思うあまりの行動だと思っている。だから君のその“自己満足”も聞き飽きた。大人の話をしよう、アリス』



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