独:Der Alte würfelt nicht.
「アリスの彼氏さんが私に何の用なのォ?しかも…生徒のデータを探しても貴方の事なんて無いみたいだしィ…一般人が学園に居るなんて問題じゃないのォ」
「僕の可愛いお姫様が危険に晒されてるって聞いて。居ても経ってもいられなくてさ」
「…嘘臭ッ…演技臭いし、阿保臭い。今時そうゆーの流行らないよぉ…。うわ、寒気で体中にフジツボが出来そう…」
「あはは、酷いな。僕はこんなに真面目で真剣なのに。いやさ、アリスを助けるの手伝ってほしいなぁって思って。きっとアリスは優しい子だから、みんなを助ける為に身を投げ打つはずさ!」
まるで舞台の上で演技をするように、大袈裟な身振りそぶりで言うカノンに飽きれてしまう。
変な男に付きまとわれているアリスに同情しつつ、これ以上干渉されない為に扉を閉めようとした。
強引に個室に入り込んでくるカノンに蹴りを入れようとするが、ヒョイと軽やかによけてしまう。
本来一人用の部屋に二人入っているので、いつも以上に圧迫感を感じた。
「出てってよ。アリスなんて別にどうなってもいいもん。貴方一人でいけばァ?」
「つれないなぁ。あんまりこういう言い方したくないんだけど…仕方ないよね。利害関係は一致してる。紫苑ちゃん…だっけ、今アリスと一緒に居るみたいだよ?それってすごく“危ない”事だよね」
「どうして…そんな、シオンは今日お休みだもんッ!だからアリスと一緒に居るわけ…」
「だって僕、紫苑ちゃんと一緒に学園に入って来たんだ。間違いないよ?彼女は面白くなってきた頃にメインの主役と合流するって言ってたから。アリスと一緒に居るんじゃないかな?」
まさか本当にこんな状況で学園に出てきているなんて。
私のサポートも無しに、アリスと一緒に居るなんて自殺行為だ。
テロリストに狙われたら殺されちゃうかもしれないのに!
アリスの事はどうでもいいけど、シオンが怪我でもしたら――!