独:Der Alte würfelt nicht.
 
 
確かにパンドラは、公表されている内容では…大規模管理システム。

“中身”を知っているのは、一度ハーグリーヴスの人間とエンジェルシリーズで取引があったから。

メールで取引連絡をしていた際に、ウイルスプログラムを仕掛けて侵入させてもらった事があった。

パンドラ自体にはハッキング出来ないけど、その周りを固める物には…入れない事も無いのだ。


「貴方、驚かないのねェ。もしかして…関係者だったり」

「あはは、どうかな。…ところでさ、さっきの続きなんだけど。スプリンクラーに揮発性の薬剤を入れて、生徒を眠らせるなんてさ…手の込んだやり方だよね。君はどう思う?」

「抑制効果だよねぇ…ほら、ここ進学校で専門科もあるから。“弄れる人”もいるの。まぁバレたら退学ものだし…刑務所に入りたくもないしね。そんなリスク冒してまでする人は中々いないかなァ」

「だろうね。校内の端末も起動したら強制終了がかかる様になってるし。個人的に端末を持ってきてる人なんてごく少数だろうから。アリスや君も、その内の一人だろうけど」


人間は極度の不安状態と緊迫状況になる場合、パニックを起こす可能性が高い。

それがピークに達すれば身体的異常も見られ、後遺症を残す物も現れるだろう。

それを緩和するための麻酔性薬品入りのスプリンクラーだとすれば…矛盾が生じる。

このテロリストは、この学園の誰一人として殺す気がないと言う事だ。


「ただ、騒がれると面倒だという理由だけなら…オートロックだけで十分だもんねぇ。アリスの存在を公に、隠蔽なんて出来ない位の大事件を起こしたいだけなんじゃない?」

「でもさ、さっきの銃声は?やっぱり一時間ごとに一人づつ殺したって事じゃないのかい?」

「それも違うみたい。アリスが教室から出て行った後、監視カメラの映像を“差し替えられないように”こっちの端末にダイレクトに残るようにしたの。まぁメインルームでアリスが差し換えてる分は、管理者側からみれば改竄後の物だからねぇ。――ほら、これを見て。さっきの銃声の時の映像と…その周辺それ以外の生徒の有無について」

「ん…この結果は――」

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