独:Der Alte würfelt nicht.


全生徒の個室に取り付けられた映像の、アリスが出て行った後の物を表示する。

銃声後の映像と照合し、生徒の出入りがなかったかを確認していた。

当然カノンが個室の出入りをしたので、エラーとして挙がって来るのは分かる。

それ以外…誰一人として抜けることなく、未だに個室に収まり続けているのだ。


「一時間に一人って言うのもねぇ…嘘っぽいし。何より個室に入ってるから、誰が死んだかも分からないモン。アリスを血祭りにあげたいなら…マスコミの前に放り投げればいい話しだからね」

「…暴力的だね。顔は結構可愛いのに」

「限定しないでよ。それに…貴方だって十分当てはまるんだからね」

「あはは、褒めてくれてるんだ。嬉しいけど、僕は残念ながらアリス一筋なんだ。ごめんね?」


 ――その、アリス一筋って言うのが一番…胡散臭い。

確かにアリスは綺麗で、学園でも男子に呼び出される事が何度もあった。

未だに誰とも噂にならず、おかしいなとは思っていたけど。

基本的に合理的な性格だから将来有望な男性としか、そういう関係にはならないんだろうな。

実際、紅茶狂いのお顔の整ったお兄さんと…いい関係になってるらしい。


『――シャーナス准将、仕事中にウェディング雑誌を読まないでください』

『別に焦ったってどうこう変わる物じゃないだろう。それよりユーリ、やはり純白のマーメイドがいいだろうか。総レース仕立てのギャザーたっぷりのこれはどうだろう』

『そうですね…自分はこっちのほうが――』

『なるほど、センスがいいな。でも甘い、やはり…“コレ”だろう…!!』

『そ、それは――ッ!!』
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