独:Der Alte würfelt nicht.
もしかしたら、この病院で男女の判断をしたのかもしれないと思い、IDの情報を読みとる。
もしも病院側のシステムに入り込めたとしても…そこで確認した答えを【投票者】側に伝える方法が存在しないのだ。
そこで答えを入手したとして、ルール5(【投票者】への明確な発言、行動をしてはいけない)に反してしまう。
私が妊婦の子宮を裂き、血と羊水の中に手を伸ばした場合のみ…ルール6(回答者【アリス】が回答を確認した場合、【投票者】も回答を確認する事が出来る)が適用される。
「テロリストの癖に!人を試して神にでもなったつもり!?ただの変態…サディスト、快楽主義の大量殺人犯だわッ!絶対許さない…“親友”を助けるために…私は絶対に、諦めないッ!」
『――回答者【アリス】様。不用意な発言は、ルール5に反する可能性がありますのでお控えください』
「…シオンを…どこにやったの!?“親友”なのに…ッッ大事な、友達なのに…ッ!これにどんな意味が!?男の子か、女の子かなんて…ッそんなの…ッ!!」
『罰則1発生。ルール5に触れると思われ発言を確認。明確なものではないので、制限時間を10分マイナスさせていただきます。今後、回答者【アリス】が“女の子”、“男の子”という発言をした場合、制限時間を10分ずつマイナスされていきます』
カメラを睨みつけ、私はいつになく上擦った声を“演出”し、落胆したように涙を流した。
制限時間マイナスより…今回の仕掛けの方が随分と大きいものとなったはず。
監視カメラの隣に設置されている監視パネルには、リアルタイムで投票する生徒の姿が映される。
投票数からみて、さすがに操作は無いと思うが…そこを疑っては元も子もない。
先ほど運よくカノン君とルカがパネルに映り、個室ではない場所に居たのが見えたのだ。