独:Der Alte würfelt nicht.
「でも、あの子も可哀そうだろう。あんなキチガイの狂ったゲームの回答者に選ばれるなんて災難だ。答えも…結局多数決で決めたみたいだし。まぁ不幸中の幸いだけど、不正解でも何もなくてよかった。きっと爆弾が誤作動でもしたんだな」
「…能天気、ですわ。あの子、外部にSOSを送って、回答を調べさせていましたのに。そしてこちらが調べた“女の子”という回答を信じて提示したのです。しかし…テロリストの方が一枚上手だったみたいですわね」
「そこなんだよ。アリスはテロリストが言う確認作業をしていないのに、どうして票が女の子だけに傾いたんだ?みんなの心が一つにまとまったとしか説明がつかないな…」
「嗚呼…面倒ですわ。私が一から説明するのは骨が折れます。外部に協力者がいて、プログラムを直接弄ったんですわ。“女の子”にしか投票がいかないようにするために」
アリス・ブランシュがローズに関係しているのは、十中八九当たりだとは思うが…信憑性は低い。
それを確かめようにも、現在、彼女は意識不明のまま病院に運ばれていった。
あれほどの出血ならば早急に手術、処置をする必要があるだろう。
後始末を一切せず、病院に付き添って行ったシャーナス将軍にリゼルは先ほどまで憎まれ口を叩いていた。
「で、結局中に入っていたのは男の子のぬいぐるみだったと。つまり…もともと居た中の子は、どこかで摘出されて代わりに入れ替えられたって事だろ?」
「ウィリアムにしては察しがいいですわね。それに…軍の方も色々とおかしいですわ」
「なにがおかしいんだ?」
「……第一級テロだとしても、将軍クラスの人間が現場に出される事があると思いますの?貴方のお兄様も…」
将軍クラスの人間と佐官クラスの人間がわざわざ現場にはやってこない。
指揮をとるとしても、安全な軍本部による通信で指示を出すのだから、現場に赴くことなどほとんどないのに。
今回は、本部から直々に現場に向かえと指示があった。