独:Der Alte würfelt nicht.
「エリザに逃げられたくせに、よくもまぁ次々に女を作る余裕がありますわねぇ?」
「ち、違ッ!ローズはただ一日保護していただけで!」
「…へぇ…保護ですの。国軍中佐が。国軍中佐がねぇ…わざわざ、自宅に、女の子を…保護?」
「そ、そんな疑わしい目で見るなって!今、軍でその…色々と許せない事件が起こってるじゃないか!それに保護といっても12、3歳の子で…他意はなく…!」
「ロリコン」
「ち、違うッ!断じて違ッ――」
完全に否定しようとした瞬間、頭に過るローズの顔。
ふわふわのウェーブのかかった淡いハニーブラウンの髪に、幼さを残す薔薇色の頬。
くりくりとまるいブルーサファイアの瞳は好奇心いっぱいに輝いていて。
小動物のような仕草や言動に何と言うか、胸の奥がムズムズするというか…。
「…思い出し笑いはやめてくださいまし。気色が悪いですわ…」
「ロリータだって数年かすれば年頃の少女になるじゃないか」
「……酷い切り返しですわね…」
「で、でもっ!レイ・シャーナスだって17歳の幼妻を作ろうとしているじゃないか!!」
リゼルはあからさまに大きくため息をつきながら、黒曜石のような瞳で遠くを見つめた。
儚げに、そして何かの思いにふける表情でうな垂れる。
白い頬に長い睫毛の影を落として、俺を上目遣いで見つめてきた。
その濡れた瞳に心臓が高鳴り、あまりの刺激に目を逸らした。