独:Der Alte würfelt nicht.
 
 

「いえ、急用なので。お願いします」

「…ご親族の方ですか?」

「あ、…はい!妹です!!」


不審そうに見上げる看護士さんに、適当に作り笑いをする。

ストークスが建設した病院だと言うのに、俺が入れないなんて…不条理だ。

靴先から頭の先まで舐めるように観察され、あからさまに大きくため息をつかれた。

腕にはめられている、電子カルテを受信する小型機に何か喋りかけた。

ほんの数秒した後に、その小型機が何かを受信したらしく、彼女はそれを見て俺にほほ笑んだ。


「IDを照合したところ、ストークス様の血縁には当たらないという結果が出ましたが」

「…血は、繋がってないので」

「義妹にも当たっていないようですが」

「な、…なら恋人でッ――」

「お引き取りください」


ニッコリ。

俺の決死の覚悟で決めた爆弾発言を、看護士のエンゼルスマイルで強制遮断された。

どうしようにも、中に入らせてはくれないらしい。

本来ならストークスの権限を使って病院内に出入りできるはず。

何か、俺の権限では承認されない何かが存在していると言う事なのだろう。
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