独:Der Alte würfelt nicht.
――シャーナス家といえば、序列第4位に位置するはずなのに…ストークス家の管轄である軍に籍を置いて大丈夫なのかしら。
トランプのカードではスペード、ハート、ダイヤ、クローバーの順で力がある。
スペードのハーグリーヴス家が政治を主に統括している。
ハートはストークス家で軍事関係のすべてを取り締まっている。
ダイヤは私の家…ブランシュ家で、ハーグリーヴス家とストークス家の均衡を保つ存在にあった。
なのに最近、クローバーの序列4位に位置するシャーナス家が頭角をあらわすようになったのだ。
――…レイに何か関係あるのかしら。
ストークス家とシャーナス家が協力関係にあるのか、それともストークス家がシャーナス家に肩入れしているのかは分からない。
でも明らかに不穏な動きを見せる二家の動向については、私の範囲外だ。
――カノン君もハーグリーヴス家の人間だと言っていったし。
なんだか、派閥争いに巻き込まれてしまっているようだ。
こうも国の要人が顔を出し、私に近づいてきた。
私も一応ブランシュ家の一人だが…深い部分には関わっていない。
何かの理由もあるのだろうが、今度は…きっとストークス家の人間に合う事になるだろう。
「あーあ…美形に囲まれてパラダイスとはいかないわね…」
ソファーに寝転がってクッションに顔をうずめる。
部屋の空調管理が少し暖かくて、瞼が重くなってきた。
本能に逆らわずに日瞼を閉じて夢の世界に落ちる事にした。