独:Der Alte würfelt nicht.
この第一エリアパンドラエース学園高等学部を統括し、創設したのがブランシュ家の先代だ。
私のブランシュ家の肩書もあってか、少し周りの人間に距離を置かれている。
この学園に通う事が出来ているのは、学費を払い生活費を補助してくれるブランシュ家のおかげだろう。
しかし、私の起こしたアノ事件により、その養子縁組も怪しくなっている。
――レイにお世話になる事になるなんて…なんだか情けない。
レイとは、きっといつまでも同じ目線でいたかった。
守る、守られるの立場ではなく、隣を歩けるようなそんな関係。
しかし私のブランシュ家からの生活補助は今月中で止められ、来月からは身元が不安定になる。
――この際、レイに嫁入りに行こうかしら…頭にリボンでも付けて。
駄目ね、きっと相手にしてもらえない。
私の事、妹か娘…最悪本当に飼い猫ぐらいにしか思ってないだろう。
鈴の音で近くに居るのが分かるぐらいの、そんな距離間しか保って居られない。
これはきっと、愛だの恋だのというものより。
レイにとって私の存在は、関心に近いものだと汲み取る。
――今の私が愛だの恋だのを歌に乗せて語っても…あまりに安っぽいし。
身寄りが無くなり、生活も不安定になる中…レイに好意の言葉を投げかけるとする。
それはまるで明日、一ヶ月後、数年間は餌箱に餌を入れ続けてくれというようなものだ。
寄生するだけの存在にはなりたくないし、私自身レイのご厄介にはなりたくない。
もう無理かもしれないけれど、彼とはいつまでも対等な目線でいたいのだ。