独:Der Alte würfelt nicht.
「ごめん、ルカ。埋め合わせはすぐにするからッ!ね、アリス!」
「ルカ・・・本当、ごめんね?」
「・・・もういいよぉ、トモダチだもん。じゃあシオン、アリス・・・バイバイ」
ルカが力なく手を振る。
私とシオンは散らばっていた道具を片付け、もう一度謝罪してその場を離れた。
「どうする、途中まで一緒に帰る?」
私とシオンの帰り道は大方一緒である為、よく帰っていた。
今日もそうするのか、と思ったが・・・シオンは一瞬考えた後、罰の悪そうな顔をした。
「んー・・・理事長先生のところ行かなきゃ」
「あぁ、そうだったわね。私も一緒に行こうか?」
「い、いいよッ!そこまでして貰わなくても・・・課題出すだけだし、ね?それにカブトムシの餌も飼って帰らないと。さき帰ってて」
「・・・わかった。じゃあシオン、またね」
「うん、バイバイ」
そそくさと校舎へ戻っていくシオンの姿を目に焼きつけた。
・・・もう、あと何回こんな会話が出来るだろうか。
「女の子ごっこも、もう潮時かな・・・」
あと何回袖を通すことが出来るか分からない、私が憧れた可愛らしい制服。
哀愁の念に追われながらも、学園を後にする。
・・・レイに会いに行こう。
あれから数日ほどたち、頭の整理も出来た。
あのままでは無礼だろう。