割り切りの恋人たち【前編】
 俺はかれこれ40分近く待っている。
 待ち合わせ時刻の15分前には到着していたからだ。
 西王線の改札を次々と人々が出てくる。
 そんな中、背の高めの女性が俺に向かい近づいて来る。
「直行さんですか?」
「あっハイそうですけど。弘美さんですよね?」
 俺がそう答えると「ええ」と言いながら笑顔をのぞかせた。
 そして弘美さんが両目を見開いて、俺の顔をジッと見つめている。
「もしかして……直行?」
「えっ、弘美って……」
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