割り切りの恋人たち【後編】
 ──俺たちはホテルの外に出る。
 陽はてっぺんまで昇っていた。
 駅までの道中、弘美は終始しゃべりかけてくる。
 あの時と変わらない心地よさを、俺はなんとなく懐かしんでいた。
「そう言えばよ、俺のいた高校さ廃校になったの知ってる?」
「えー、そうなの。知らなかった」
「なんかさ少子化で人がいねぇーんだとよ」
「そうなんだ……」
 春の暖かい風が吹き抜ける。
 18年前と同じ空に同じ風。
 18年前と同じトキメキ。
 そして何も変わらない、屈託の無いふたりの笑顔。
 そんな素敵な風。
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