割り切りの恋人たち【後編】
 俺たちが始めてデートしたのもこの公園だったのを、かすかに覚えている。
「ねぇうちらが初めてデートした日覚えてる?」
「知らない」
「18年前の、7月21日。今日みたいな暖かい風が吹いていた、とても気持ちのいい晴れた日だよ」
「よ、よく日付まで覚えてるな……」
 俺は感心した。
 なぜなら、弘美がこと細かく当日のことを覚えていたからだ。
 どこで何をして、こうして、ああしてと、弘美はマシンガンのようにしゃべりかけてくる。
 そして微笑む。
 あの時と同じトキメキを、俺は今堪能している。
 
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