MEMORY~A Promise with them~
蜘蛛の子を散らしたように小田原先生があたし達の元へ来た時にはあたしと小湊さん、そして絡まれていた渋沢さん以外は既にいなくなっていた。
「仲岡先生っ
今の集団は一体何なんですか?!」
「えっ …ああっと今の…は…」
小田原先生の迫力に自分が怒られている感じになり少し吃ってしまったが質問を返そうとすると、懐かしい香りが鼻腔を擽る。
「何かあったんですか?
こんな所で集まって」
どくん っと大きく脈打つのが分かる。
ただ、懐かしい声を聞いただけ
人違いかもしれないのに
それだけで 隣にいる子に聞こえてしまうんじゃないかってぐらい胸が高鳴っている。
懐かしいや嬉しいと言う意味の胸の高鳴りじゃない。
逢いたくない、気付かないでほしい意味ので…
絶対に
〝気付いてほしくない〟
「あっ! 陸さんだー♪」
「お前ら 授業中だろ?
こんな所で何してんだよ」
小湊さんが嬉しそうな声であたしの後ろにいる人物に駆け寄る。
陸っと呼ばれたその人物は呆れたように小湊さん達に向かって言った。
「小湊ー!!
まさか 業者の人の邪魔してんじゃないだろうな?
担任からも言われてるだろ!!
小学生じゃないんだ もっと節度ある行動をしなさいっ!!」