MEMORY~A Promise with them~
 





〝――――俺の気持ちは変わらない
稀莎のことが好きだ″


〝…陸は優しいから
自分を偽ってまであたしに付き合うこと、ないよ″


〝いつ俺が自分を偽った?
俺の気持ち勝手に決め付けて 無視すんなよっ″


陸は吐き捨てるように言うと、あたしの肩を掴み渇望するかのように弱々しく言う。


〝頼むから… これ以上俺を避けるなよ…″


小刻みに震える陸の揺れが腕から肩に伝わってきた。
そんな陸を見てあたしは想いを抑え叫ぶ。


〝あたしがいるから 陸は犠牲になってるんじゃんっ!!
陸はあたしなんかとこれ以上一緒にいる義理ないよ…″


〝なっ!…なんだよ それ″


傷付く陸の顔を見て、泣きそうになるのを必死に堪えるあたし。


〝ごめん…″


〝……俺じゃ、ダメなのか?″






       〝―――ごめん〟








渡り廊下に行く前に居た場所へと戻ってくると窓に近付き、下を見下ろす。
さっきまで自分が居た場所にはまだ陸と千葉さん達がいた。


「…ごめんね 陸
でも あたしが居たら何時までも前に進めないでしょう?
幸せに…」


なってほしい―― そう、最後まで口には出せなかった。

あたしなんかが口にしたら陸の幸せ全部なくなっちゃいそうで…


窓に添えていた手に力が入り、ギュッと拳をつくる。


 
< 16 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop