MEMORY~A Promise with them~
不意に千葉さんが上を見上げ、目が合う。
上からでも不安げな顔をしてこちらを見ているのが分かる。
〝あの顔が忘れられなくて…
酷く傷ついた顔してたから…
きっと、何か大事な事を忘れてるんだと思う…〟
そして、先程の言葉が頭の中に木霊す。
千葉さんの…あの子の言動が全て重なって見えて思い出させるんだ。
あたしが傷付けた
あたしがあんな顔させた
「仲岡先生っ」
後ろを振り向くと 厳つい顔に似合わずオロオロとする小田原先生がいた。
多分心配して追い掛けてきてくれたのだろう。
「小田原先生…」
「…あの、ホントに知り合いじゃないんですか? さっきの業者の人と…」
やっぱり不自然に思われているらしい
無理もないか いきなり泣き出してあんな動揺して
「…ホントに知りませんよ
余程似てたんでしょう あたしも吃驚しました …第一あたしはああいう人…嫌いなんで知り合いの筈ないです」
小田原先生の目を見て淡々と嘘の言葉を並べる。
それを聞いた小田原先生がホッとして信じる様子にあたしはチクリと胸が痛む。