MEMORY~A Promise with them~
「稀「ねえ…やっぱり稀莎ちゃんのこと…」
振り向きもせず、本当に自分を知らないとでも言うかのように普通の足取りで去る稀莎の背中を見つめ、引き止めようと口を開いたが誰かの声が被さる。
「ねー!!やっぱりそうだよねっ!」
体育館の渡り廊下に残された複数の女生徒は稀莎が消えた方向をチラチラ見ながらキャッキャッと囁き合う。
「やっぱりって…?」
「ゴリよ!ゴリ!稀莎ちゃん狙ってるって話
知らな…ってあっ陸さん…」
「あの先生が稀莎を…?」
「陸さん!稀莎ちゃんと知り合いなの?!」
飛び付かん勢いで女生徒から聴いた言葉を反芻していた俺に迫ってくる小湊千佳。
体育館の外装工事を始めた時から何故かメアドを聞かれたり構われてる。まあ最初は適当に邪険に扱っていたが、それでも毎日来るコイツ(等)に最終的に俺が折れた訳で。
今じゃあ、すっかりなつかれている。
「知り合いって言うか…
なあ、あの先生〝森岡稀莎〟って名前だよな?」
「稀莎ちゃんの苗字って…何だったっけ?」
「え~っと 確か…」
「仲岡よ 〝仲岡稀莎〟」