MEMORY~A Promise with them~
Now
彼は 元気にしているだろうか
幸せなんだろうか
窓の向こう側を見つめ ボーッとそんな事を考えてしまう。
季節は 梅雨。
今も途絶えることなく雨が降っている。
「あっ 稀っ莎ちゃーん
何してんの? 授業は?」
「こらっ〝先生″でしょ? ちゃん付けしない」
「気にしない気にしない あたし等と稀莎ちゃんの仲じゃん♪」
「どんな 仲よ」
大袈裟に溜息をついて見せるもまったく気にするそぶりもなく笑い飛ばす。
「あっ ちょっとちょっと~
溜息つかないでよー 幸せ逃げちゃうぞ?」
ねーっと隣にいる友達と笑いながら頷き合う子達。
――――幸せなんて とっくのとうに逃げていってるよ
そう喉元まで出かかったが ぐっ とそのまま言葉を飲み込んだ。
そんな事言ったって 彼女達を困らせるだけ。
余計 陰気な先生だと思われるのがオチよ。
「あら? そう言えば貴女達授業は?
もう とっくにチャイムは鳴って今は授業中のはずよ」
そう聞くと目の前の彼女達は体を固まらせた。