MEMORY~A Promise with them~
 
「モヤモヤ? 」



千葉さんの言葉に疑問をもち、同じ言葉を繰り返し言う。
うん と頷くと彼女は胸に手を置き説明してくれた。



「稀莎ちゃんだから言うけど
あたし 一部の記憶を忘れちゃってるんだって
そんな 実感全然ないんだけど 知佳が教えてくれたんだ」



 ちか…… ああ、小湊さんか



「私生活にも学校生活にも特に問題はないけど…」



口を挟まず、千葉さんの言葉をゆっくり待つ。



「あの顔が忘れられなくて…
酷く傷ついた顔してたから…
きっと、何か大事な事を忘れてるんだと思う…」



千葉さんは目を伏せめがちにそう言う。
多分、その時の事を思い出してるんだと思う。

それが、どんな場面なのかは分からないけど哀しそうに顔を歪めるあたり相当もどかしいんじゃないかしら…



でも、
千葉さんには悪いけどあたしには…



それが
少し〝羨ましい″と思えてしまった。




何度… 〝忘れられたら良い″と思っただろう…

何度、〝記憶を消してほしい″と願っただろう…


何度も何度も後悔の念に苛まれて、いっその事 記憶なんて失くなればいいと…そう考えていた。



 
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