MEMORY~A Promise with them~
記憶喪失になった、その人にしか…その苦しみは解らない。
解ってはいる。
解ってはいるけど、
あたしは…
人として、教師として最低な思ってはいけない事を思ってしまった。
「ごめんね 稀莎ちゃん
暗い話ししちゃって……」
黙り込んでいるあたしを見て、千葉さんは戸惑っていると勘違いしているのか謝ってきた。
そんな、千葉さんの姿を見てあたしは自己嫌悪に陥る。
「……謝るのはあたしの方よ」
「えっ?」
思わず呟いてしまったあたしに千葉さんは聞き返す。
「ううん 何でもないわ
…雨、小降りになってきたわね」
そう言うあたしを不思議そうな顔をして見る千葉さんだったが窓を見ると
「あっ!ホントだ
小降りになってきたね♪」
明るい声で私の方に向かって話す。
小降りになってきた外を見ていると ふっと視界に人影が写り視線を下の方へと下げてみると体育館に続いている渡り廊下で女子生徒が一人立っていた。
「あら? あの子どうしたのかしら…」
――――さっき見た時はいなかったはず…
不思議に思い、おもわず口に出して呟いた為、同じように窓の外を見ていた千葉さんが視線をあたしと同じように下へと合わせる。