MEMORY~A Promise with them~
「あれ? あの子って…確か…」
「知っているの?千葉さん」
「えーっと、多分そうだと思うんだけど…
B組の渋沢さんじゃないかなあ
距離があるからはっきりとは言い切れないよ?」
千葉さんが説明してくれている途中、複数の女子がやってきて渋沢さんと言う女子を取り囲み、何だか雲行きが怪しい場面に変わっていた。
「…あの子達も同じB組かしら?」
眉間に皺をよせ、窓の外に視線を向けたまま千葉さんに投げかける。
「あの子達は、あっ!知佳だっ
ヤバイ このままだと…」
窓の向こう 小湊さん達が加わりますます険悪なムードが遠くからでも見て分かる。
そんな状況を放っておける訳もなく、あたしは頭を痛ませながら向かおうとした。
が、
「か…れん?」
下で、囲まれている渋沢さんと言う女子生徒の顔がチラリと見えた瞬間、頭が痛いとか面倒事だとかそんな事、
すっぱりと頭の中から消え失せ、足が前へ前へと勝手に歩みを速める。
逸る気持ちを抑えて。
「ちょっ…
稀莎ちゃんっ?!!」
後ろでいきなり走り出したあたしに吃驚したのか素っ頓狂な声を出す千葉さん。
走る事なんて大人になってから全くと言っていいほど無いから少し走っただけで足が心臓が悲鳴を上げている。
でも、そんな事どうでもよかった
今のあたしには〝あの事″しか考えられない
だって… あの子の顔っ