愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「私、やっぱり帰ります」


「な、何を言ってるんだ? ここまで来て……」


「危うく過ちを繰り返すところでした。失礼します」


そう言って阿部に背を向けると、阿部は再び私の肩を掴んだ。


「何もしないから、飯食いながら話し合おう? な?」


「放してください。話し合う事なんかないし、何もしないなんて信じられません」


私が阿部の手を振りほどこうとすると、


「き、君、こんな所じゃ目立つから、あっちで話そう? な?」

そう言って阿部は私を押すようにして歩き出し、私はロビーのソファーに座らされた。


「神林に俺との関係を知られてもいいのか?」


勝ち誇るような顔でそう言った阿部に、私はキッパリと言い放った。


「構いません」

と。


< 122 / 220 >

この作品をシェア

pagetop