愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「あ、マスター」


レストランのマスターが、憮然とした顔で立っていて、祐樹は慌てて私から離れ、バツがわるそうな顔をした。


そんな祐樹も、可愛いな……


「どうしたのかな、大声出して……」


「マスター、志穂さんにオーケーしてもらえたんですよ!」


するとマスターはパッと目尻を下げた笑顔になり、


「そうだと思ったよ。よかったね、祐樹君」


と言った。憮然とした顔はフェイクだったみたい。


「はい!」


「志穂さん、彼はここで半べそかいてたんですよ?」


「え?」


「ちょっと、マスター……」


「“なぜ志穂さんは返事してくれないんだろう。もし断られたら、どうしよう”ってね」


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