愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
私は力無く立ち上がり、

「すみませんでした。もう二度と息子さんには近付きませんので……」


と、俯いたままお父様に謝罪し、部屋を出た。

その時お父様は、小さく頷いたような気がしたけど、祐樹からは何の言葉もなかった。


屋敷を出て、ふらつきながらも足速に私は歩いた。早く家に帰りたかったから。


歩きながら、もしかすると祐樹が追い掛けてくれるかも……


そんな虫のいい事を思ってしまう自分がいて、滑稽だった。

そんな事、あるわけないのに……


惨めで惨めで、死んでしまいたいと思った。


下を向いていたせいで、正面から来る赤い車に気付くのが遅れ、私は慌てて脇へ避けていた。


バカみたい。まだ私は、命が惜しいんだ……


その赤い車が私の横で停車したかと思うと、


「ハロー、志穂ちゃん!」


アリサさんが、笑顔で手を振っていた。


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