愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
アリサさんに肩を掴まれたけど、私はやめなかった。


「どうして開かないのよ! 開いてよ! ここから出して! 帰りたい……」


「志穂ちゃん、やめてってば! どうしたの? 何があったの? 志穂ちゃん、うわーん」


私は、私ではない人の泣き声で我に返った。


アリサさんが、私の背中に縋り付き、声を出して泣いていた。


私は鉄格子を放し、アリサさんを振り向いた。


「アリサさん……?」


「いや、アリサって呼んで?」


「アリサ、どうして泣いてるの?」


「そんなの知らない。志穂ちゃんが泣いてるからだよ」


「そっか、ごめんね? アリサ、綺麗な顔が涙で台なしになってるわよ?」


「そんなの、志穂ちゃんだって一緒だよ。涙と鼻水でグチャグチャじゃない……」


「う、うそ!」


私は慌ててバッグを開き、ティッシュを探した。


「ねえ、何があったか話して?」


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