愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「え?」


運転席に座るアリサを見ると、少し怒ったような、それでいて泣き出しそうな、そんな顔で私を見ていた。


「あたしはバツイチで、子供を産んだ体だけど、もう取り返しはつかない?」


「そ、そんな事は……」


「それにね、志穂ちゃんが話してくれたからあたしも言うけど、あたしも中絶した事があるのよ?」


「えっ?」


「大学生の時だったわ。彼に話したらビビッちゃって、“俺の子供だって、証拠を見せろ”とか言われて、一遍でそいつが嫌いになったから、迷わずおろしたの」


「酷い……」


「あ、思い出したら涙が出てきちゃった……」


「アリサ……」


アリサの頭を撫でていたら、私も自分の事を思い出し、一緒に泣いてしまった。


男なんて……、大キライ!


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