愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
二人でしばらく泣いた後、アリサは顔を上げると、「あたしは諦めたりしないよ?」と言った。


「誠実で素敵な彼氏を見つけて、子供だって産みたいと思ってる。ねえ、それっていけない事? 取り返しのつかない失敗をしたあたしには、そんな権利はない?」


「ううん、そんな事ない。アリサはまだ若いし、綺麗だし、まだまだこれからよ?」


「志穂ちゃんだって同じじゃない?」


「わ、私は……」


「若いとか若くないとか、綺麗かとかじゃないと思う。人は誰でも過ちを犯すけど、それを乗り越えて前に進むんじゃないの? 幸せを求めて」


「確かにそうだと思う。でも私は、もういいかな、って。こんな辛い思いは、もうしたくないよ……」


いったん止まった涙が、再び頬を流れ出していた。


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