愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
因みに、阿部が部長から一気に平社員へ降格となる人事が発令され、社内で物議をかもした。


私は、改めて祐樹のお父様の厳しさを実感した。

あるいは、阿部が下手に工作を仕掛け、逆に事態を悪化させたのかも、などと想像してみた。

いずれにしても、私には関係ない事だけど。



アパートの整理が全て終わったのは、すっかり日が落ちてからだった。


業者さんが引き払い、がらんどうになったアパートに別れを告げると、私は両手に大きなバッグをぶら下げ、駅への道をとぼとぼ歩き出した。


しばらく歩き、路地に差し掛かったところで、突然目の前に人が現れた。


街灯を背にして立つ、その人物の顔はよく見えないけど、体格から男性だという事は分かった。


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