愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
志穂さんの出社は昨日までで、後は有給消化する、という話を思い出した。


もしかすると、田舎に帰ってしまったのかもしれない。


だとしたら、どうやって探せばいいのだろう。


俺は車に乗り、来た道を引き返した。

来る時と違い、アクセルを踏む足に力が入らない。


走り出してすぐの左の路地に、屈んだ男の姿が見えた。


その男の下に、もう一人いたように見えた。


その光景に異常を感じた俺は、思いっ切りブレーキを踏んでいた。


タイヤが軋み、車が停止すると、すぐに車から降りて路地に向かって走った。


近付いて見ると、男は阿部だった。

こっちを向いて、不気味な薄ら笑いを浮かべていた。


更に近付くと、阿部の下に人が倒れていた。その人とは、志穂さんだった。


そして志穂さんの首には、阿部の指が食い込んでいた。


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