愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜

俺は阿部を足で蹴り飛ばし、志穂さんを抱き抱えた。


志穂さんは、目を開いたまま、微笑んでいるように見える。


「志穂さん、志穂さん！」


「無駄だ。もう死んでるよ。死にやがった。ざまあ見ろ！ ガハハハハハ」


阿部のバカ笑いが遠ざかっていったが、俺はそれに構わず、志穂さんの口に頬を寄せた。


息をしてない……


俺は大きく息を吸い込むと、志穂さんの口に息を吹き込んだ。

その弾みで、志穂さんの胸が持ち上がる。

それが下がって志穂さんの口から息が洩れると、また息を吹き込んだ。


無駄かもしれないが、いや、無駄とは思わず、それを何度も繰り返した。すると……


「ゲホ、ゲホ」という咳とともに、志穂さんが自分で息をした！