愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「私、やっぱり田舎に帰る。実家には帰るって言ってあるし、荷物は送ってあるから」


「それは絶対にダメです!」


祐樹がキッパリと、強い口調で言った。


「志穂さんと離れて暮らすなんてイヤだ。まして俺達の赤ん坊がいるのに……」


「でも……」


「もしおやじ達を説得出来なかったら、俺はあの家を出る。アパートを借りて、一緒に暮らしましょう?」


「そんなのダメよ」

と志穂は言ったが、

「いいんじゃない? それで」

と、すかさず杏里沙は言った。


「二人で暮らせば、どこでも幸せでしょ?」


「そんな……」


志穂は、本当は杏里沙が言うように、祐樹と一緒ならどこでもいいと思った。例え貧しくても。


しかし、自分のせいで祐樹と両親が不仲になるのは、出来れば避けたいと思った。


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