愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
そんな志穂の葛藤をよそに、退院をすると三人はその足で、祐樹の実家へと向かった。


実家に着くと、いきなり祐樹の母親に出迎えられ、しかも笑顔で迎えられたので志穂は面食らってしまった。


「志穂さん、会いたかったわ」


祐樹の母親は、杏里沙に似ていた。正しくは、杏里沙が母親に似たのだが。


やはり40代前半にしか見えず、上品で綺麗で、優しそうな女性だった。


挨拶もそこそこに、母親に付いて三人はゆったりとした広い部屋に入り、志穂は座り心地のよいソファーに腰を降ろした。


その部屋は、いくつかある応接間の中でも、最も広くゴージャスで、特に大事な客の応対に使われる部屋だった。


「おふくろさん、本当にこの部屋でいいのか?」


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