愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「え? あの日、おふくろさんは気分が悪いから部屋で休んでるって、おやじが……」


「そんなの嘘よ」


「嘘?」


「あたしはね……」と杏里沙。


「祐樹から聞いて知ってたけど、ダディから用事を頼まれて出掛けてた。後で気付いたけど、わざと外に出されたのよ」


「えーっ? なんで?」


「要するに、あの人が一人で企んでたのよ。探偵を雇ったりして、最低!」


「ほんと、最低!」


母親と杏里沙は、似た顔をしてプンプンと怒った。


「志穂さん、ごめんなさいね? 私が知っていたら、そんな酷い事はさせなかったのに……」


「そんな、事実ですから……」


「いいえ、事実だろうと何だろうと、人のプライバシーを暴くなんて、許されるものじゃないわ。誰だって、人に知られたくない過去や秘密はあるものなのに……」


「じゃあ、おふくろさんは、志穂さんの過去には……」


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