愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「あなた達の問題なんだから、私は口出ししないわ」


「おふくろさん、ありがとう。でも、おやじは……」


「それが解せないのよね。あの人、そんな分からず屋じゃないと思うんだけど、最近機嫌が悪いというか、元気がないというか、何考えてるのか分からなくて……」


と、そこへ父親が部屋に入って来た。苦虫をかじったような、渋い顔をして。


志穂はすかさず立ち上がり、「こんにちは」と言って祐樹の父にお辞儀をした。


「いらっしゃい」と父親は志穂に言葉を返したが、いかにも機嫌が悪そうな低い声だった。


でも志穂は、“あれ?”と思った。なぜなら、志穂を見る父親の目に、前回のような冷たさや鋭さを感じなかったから。

むしろ辛そうに見えて、志穂は祐樹の父が心配になった。


(お父様、どうされたのかしら……)


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