愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「こんなこと聞いていいか分からないんだけど、首をどうされたの?」


「はい?」


「その……痣みたいなのが見えて、さっきから気になっちゃって。やだ私ったら、失礼よね?」


「あ、それなんだけど、言っておきたかったんだ。特におやじさんに」


「俺に?」


「ああ。志穂さんの首にある痣は、首を絞められた時についたものなんだ」


「え?」


と言ったのは母親だが、父親も顔色を変えていた。


「志穂さんは、阿部に殺されかけたんだ。いや、俺が人口呼吸で何とか蘇生したけど、殺されたと言ってもいいと思う」


「そ、それはいつだ?」


父親がすぐにそう聞いた。さっきまでと違い、目に力を込めて。


「あいつが電車に飛び込む前だよ」


< 212 / 220 >

この作品をシェア

pagetop