愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「反対? なんで俺が反対するんだ?」


志穂は、狐に摘まれたような気分だった。


それを代弁するように、祐樹は言った。


「だって、おやじさんは志穂さんの過去が気に入らないんだろ?」と。


「祐樹、もうその話はするな。志穂さんが可哀相だろう?」


「はあ? それはそうだけど……」


「おまえは誤解してるようだな。俺が心配したのは、志穂さんが悪い女で、おまえを騙してるんじゃないかって事だったんだ。志穂さん、すみませんね」


「あ、いいえ」


「志穂さんは悪い人なんかじゃないよ。俺を騙すとか、そんなんじゃない」


「そうだな。だから何も問題なしだ」


それを聞いて、祐樹はニコッとしたのだが、


「でも……」


控えめな声で言ったのは、志穂だった。


< 216 / 220 >

この作品をシェア

pagetop