愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
ハッとして振り向くと、そこには一番見たくなかった男の顔があった。

即ち、お酒臭い息をした赤ら顔の阿部が、ニタニタしながら立っていた。


「そんなに急いでどこに行くのかな?」


「帰るんです」


私はキッパリそう言って、私の肩を掴む阿部の手を振りほどいた。


「またまた……、嘘はいけないなあ」


「嘘じゃありません」


「君は気付いてないかもしれないが、君が夜な夜な飲み屋街をうろついてるのは、社内で噂になってるんだぞ?」


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