愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「放してください。私に触らないで!」


私はそう叫び、阿部の手を振りほどこうしたけど、ガッチリ掴んだ阿部の手を、振りほどく事は出来なかった。


通り掛かる人はいるけど、こっちをジロジロ見るだけで、誰も助けようとはしてくれない。


「ほら、みっともないから、行くぞ」


阿部に腕をグイッと引かれ、私は抵抗する気力を失いつつあった。


こんな男に、また抱かれるなんて……


悔しさで目が涙で滲んだ時、もう片方の腕を誰かにムズッと掴まれた。


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