愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
それから何日か経ったある日の事。


私がトイレの個室から出ようとしたら、


「総務の神林君ってさ……」


という話し声が聞こえ、扉に伸ばした手を止めた。


「うんうん」


「本当に彼女がいたんだね?」


「えーっ、うそでしょ?」


私も一緒に“えーっ?”と言っていた。心の中でだけど。


「“俺、付き合ってる人いるから”って言うのは、断るための口実だと思ってたのにさ……」


「あたしもそう思ってた。違うの?」


「本当にいるんだって。何人もの人が見たんだってよ?」


え? 見られた?


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