愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「あれ? そう言えばキャシーは? あ、キャシーは姉貴の娘で、つまり俺の姪っ子なんですけどね」


「向こうに置いてきた」


アリサさんの声が急に暗くなった。


「何で?」


「裁判に負けたのよ」


「そっか……。そもそも、何で離婚なんかしたんだよ?」


「ボブが浮気したのよ。それも1回や2回じゃないの」


「何でそれで裁判に負けるんだよ?」


「向こうの弁護士が優秀だったからよ。でも慰謝料はたっぷりふんだくったから、当分お金には困らないわ」


そう言ってアリサさんは笑ったけど、強がってるだけだって事が、私には痛いほど分かった。


「あんたは浮気する?」


「するわけないだろ?」


そう言って祐樹は私を見たけど、私はどんな顔をしていいか分からなかった。


「男なんて信用できないわ。ね、志穂ちゃん?」


と言われて、思わず「はい」と返事をしてしまった。


「志穂さん……」


祐樹は情けない声を出していた。


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