愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
別れる? 別れない?
「志穂さん、ごめん。言ってなかったですよね?」


祐樹は“ごめん”と言いながらも悪びれた様子はなく、むしろ愉快そうな顔をした。


「聞いてないし、そんなの……」


アリサさんがいるので、“イヤよ”と続く言葉を私は飲み込んだ。


それでも私の拒絶の気持ちは二人に伝わったようで、たちまち重たい空気が漂ってしまった。



「祐樹は志穂ちゃんを送って行くんでしょ?」


「ああ」


「いいえ、私は大丈夫だから……」


と言ったのだけど、


「二人でゆっくり話し合ったら?」


とアリサさんに言われ、


「そうするよ」


と祐樹は言い、一人で帰れる雰囲気ではなかった。


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