愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
クリスタルのグラスを口に運ぶと、スコッチ特有のスモーキーな香りがし、その濃い色をした苦い液体を口に含むと、ゴクッと喉へ流し込んだ。


「ねえ」


「はい?」


「祐樹は、ご両親に私の事を、何て言って紹介してくれるつもりなの?」


その可能性は殆どないと思うけど、もし祐樹が私の事を単なる職場の上司として紹介するのなら、私は祐樹の実家を訪れてもいいと思った。


そして、二人の関係をもうしばらく続けても……


しかし、


「もちろん、俺の大切な女性としてですよ。既にそう話してありますし」


やっぱり、そうよね……


私はがっかりすると同時に、嬉しいような、複雑な気持ちだった。


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