オレが死んだ
「渋谷里澄…里澄…、あった!
ここだ、ここ」
大空が指さしたプレートには403と俺の名前。
「今日はお父さんも来たわよ」
「里澄、俺が来たんだ、そろそろ起きろよ」
病室から親父と母さんの声が聞こえた。
「お父さんね、ぐちゃぐちゃになった里澄のバイク、直しちゃったのよ!?
もう使えなさそうだしどこかに引き取ってもらおうとしたのに、「里澄が大事にしてたやつだから」って言ってきかなくて」
「ついでに里澄好みにカスタムしといたぞ!」
「あんなの付けて~。大丈夫なの?」
「なに、大丈夫だろ。走り屋はみんな付けてるぞ!
な?里澄」
奥で目を瞑ったままの俺と、
そんな俺の手を掴んだまま離さない両親。
笑いながら話す親の声は、
微かにトーンが低く、震えていた。
「里澄、入らなくていいのか?」
「…ばっかじゃねえの。
俺は死んでねえ!親父男のくせに泣いてんじゃねえよ…」
俺は笑った。
と同時に耐えてた涙がこぼれた。