絆~君への届かない想い~
 

本当は、煩い空間で一定の時間いたくないんだよな… 寝不足で頭に響くか……ん? 確か【クローバー】って……

千鶴か誰かが言ってたっけ…
普通の喫茶店と違って隣の席がかなり遠くてガヤガヤ煩くないし、疲れを癒すのにも勉強するのにも最適な場所で人気だって……



「どうかしたあー? 良」


黙り込む俺に コテン っと首を掲げて聞いてくる美綾。





あ゛あ゛ーー!!! 畜生っ!!!!



ベシッ


「ったあー!! ちょっといきなり何すんの?!!」



心の中で叫び、美綾のおでこにデコピンをして訳の分からない美綾を置いてスタスタ前を歩く。




多分、いや絶対そうだ。
俺が疲れてるのを知ってわざとあんな事言ったんだ。(まあ、本当に食べたかったのもあると思うが)

あんな言い方だと自分の事しか考えてない風に聞こえるけど、実際は相手の事を考えての言葉。




はぁ っと思わず溜め息。



…いっそのこと、嫌な性格だったら良かったのに



ああ… そしたら好きになってないか





くるり と後ろを振り返り


「早くしないと、 今日の分の洋梨タルト売り切れんぞ?」



その言葉に 眉間に皺をよせていた美綾は一気に満面の笑顔に変わり走り寄ってくる。









まあ、ようは惚れたもん負け ってことだな……








絆~君への届かない想い~ ‐完‐
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