お嬢様の秘密
ーコンコン


「失礼します....。」


開くかな…。


恐る恐る壁を押してみた。


「お嬢様。そのまま横に押してください。1ヶ月前にシルバー様がカラクリを全てお壊しになったことを伝え忘れました。」


そうだったのね………。


見られていたのが桜井だけでよかった....。


「開いた開いた.....。」


ってそんなこと言ってる場合じゃないんだよ!


「シルバー様?いらっしゃいます?」


「ユリさんね。用件は?」


あれ?


シルバーってこんな人だったのかな?


いつもより声が冷たい....。


「あの。明日の晩のダンスパーティーのことですが....。」


「夏菜さんのためにここに来たんでしょ?いいわ。特別に許可してあげる。

玲央が執事であることはここにいる私たち、そして夏菜さんしか知らないから気をつけて。」


「あ、ありがとうございます。」


「用件終わり?じゃあお帰りなさって。」


一瞬見えたシルバー様の瞳はとても冷たかった....。


有無を言わさない強い意思を持った瞳。


だけど何か人を突き放すような....。


用件をさっさと終わらされた感じ。


「夜分遅くすいませんでした....。」


きっと時間帯が遅いせいだろう....。


桜井の方をちらっと見たとき、桜井も見たことのない怖い顔をしていた。




とりあえず夏菜には喜んでもらえた。


一安心。


だけどあの瞳は目に焼きついていた....。

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