お嬢様の秘密
「今回の前夜祭は第一ホールで開催されるということで。新築のホールはいかがでしょう!

昨年まではシャンデリアのかかった、大広間で行われていましたが、今回は華麗さをテーマに....」




ヤバッ!


この説明が終わったらすぐに始まるらしいんだけど………!!


今日は一度しか出ないからいいけど。


この学園の人は、ダンスパーティーのことを2日間合わせて“舞踏会”と言っているよう。


つまり明日もあるってわけ。


最悪なことこの上ない。


「それでは1番....」


ヤバッ!


どうしよう!


と、その時。


「お前方向音痴かよ。」


と、言う声と共に後ろから抱きしめられた。


この甘い香りは...。


「葵?私の居場所、どうやって見つけたの?」


「ステージに立っている理央兄が口パクで教えてくれた。」


「理央兄?」


「俺さ、学園にいるときは理央兄を桜井さん、って呼んでんだけど、昔、玲央と遊んだときから、理央兄って呼んでんの。」


「へぇ.....。」


っていう話しているのはいいんだけど、今、人気なしの廊下なんだよね。


「葵?ここどこ??」


「舞台近くの廊下。俺ら次だから。」


「早いね..!」


「まぁお前迷子になってたからな。」


クスクスと笑う。


そんなことないってば!


私は頬をふくらませた。



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