お嬢様の秘密
「それでは、桜井玲央様、浅井夏菜様。お願いいたします。」


私の執事が司会。


たまたま私たちの1つ前が夏菜たちだった。


「ねぇ葵?これってさ舞踏会じゃなくて発表会じゃん。」


ダンスフロアかと思いきやステージ仕様だし。


「そっか、お前は知らないか。少し説明するとな。今日の発表会で踊った後、1位と2位にベストカップル賞を貰えんの。

それをもらえなかった人はカップルの組を変えることができる。」


待って…。


もし、私がうまく踊れなかったら....。


ベストカップル賞をとれなかったら......。


葵は別の人と組み直すの?


いや....絶対嫌!


って私何考えてるんだろう?


葵は私なんかよりもっといい人いるはず。


出身とかにこだわるなら。


もともと、私に命令してくる人なのに....。


「で、それが明日に繋がるわけ。」


「なんで?」


「今夜は一応会社の重役とか来てるけど明日はもっと来るから。将来性を考えてみんなペアを変えたり徹夜で練習したりするわけ。

将来の社長が恥をかきたくないだろう?たかが学生の舞踏会とはいえ、これは正式なものだから。」


「へぇ....。ねぇ?私、踊ったことないよ?」


小さい頃に日本舞踊を習わされたけど。


「そうか、出身も出身だしな。大丈夫、気にすんな。俺がサポートするから。足も今はなんとか大丈夫だろ?」


「うん。応急処置かなり効いてるみたい。」


私のその言葉を聞いて、葵は安心してくれたみたい。


「では、最後は高澤葵様、秋本ユリ様です。」


桜井が目で“頑張ってください”と合図してきた。


「ふ....。」


初めてなのにトリって....。


緊張する。


< 118 / 312 >

この作品をシェア

pagetop